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ストレスでイライラしてしまう時には?

ストレスでイライラしてしまう時には?

現代に生きる私たちの周りには、様々なストレス要因がありますね。
それは人によって様々でしょうが、このストレスが過剰になると、様々な不都合な影響がでることが報告されています。

<ストレスは悪いもの?>

しかし、究極的なことを言えば、実はストレス自体は悪いものではありません。
ストレスが全くないことはまずあり得ませんし、もし完全にストレスフリーだと人は成長することができません。
ストレスがあるからこそ、耐性がついたり、また、不確定要素やランダム性を取り入れて成長・進化することができるという側面もあります。

実際の話、「最高価値」に生きていれば、ストレス要因となるかもしれない「試練」はチャンスとなり、ストレス解放要因となるかもしれない「支援」、それらが同価値のものと扱えるようになるので、そもそもストレスでイライラすること自体がほぼなく、その対処法を説くことよりも、ストレスと共に生き、それを活かしている状態、つまり、「最高価値」に生きることを最初に説くべきであるというのが私自身の立場です。

つまり、ストレスの対処をしないといけないほどになっているという状態は、「最高価値」生きていない可能性が高いため、自分の生き方をまず「観る」というのが大切ということですね。
(最高価値については、こちらの記事を参照してみてください。「自己理解のためのワーク」 )
また、心は特有の癖を持っているので、ストレスを完全に避けるのはほぼ不可能でしょう。心の癖については、こちらを参照してください。
「なぜ、ヨーガでは心を止滅させろというのか?〜心の4つの癖を理解する」

 

<過剰なストレスの怖さ>

ただ、ストレスが過剰にかかったり、かかっているように誤認してしまったりすると、それはそれでまた大変なこと。
過剰なストレス下では、扁桃核での情報処理が優位となり、前頭前野での処理が行われない傾向にあります。
これは常に警戒状態となり、交感神経優位の状態が続き、血管の収縮を引き起こし心臓にも負担をかけることになります。

「幸福ホルモン」とも呼ばれる、セロトニンの分泌量が減り、幸福感を持てなくなります。
セロトニン分泌の減少は、うつ病、依存症、不眠症、偏頭痛、怒りの発作、摂食障害、アルツハイマー病など、様々な病気と関係していることが分かっています。

また、ストレスによって、コルチゾールというホルモンが分泌され、それが過多になると脳にダメージを与えもします。

若干、論理飛躍になるかもしれませんが、災害などのいわゆる危機的状況(Crisis)においてどのようなことが起きるのかを理解しておくこともストレスの理解につながることでしょう。
危機的状況で起きることについては、米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)のレポートにも出ていますが、心身に多大な悪影響があり、またコミュニケーションも難しくなることが報告されています。
https://emergency.cdc.gov/cerc/ppt/CERC_Psychology%20of%20a%20Crisis.pdf

北海道大学とある研究では、ストレスが過剰になると、脳に免疫細胞が入り込み、これが脳内で炎症を起こし、胃腸・心疾患を引き起こす可能性があることがわかっています。
また、以前、NHKで「キラーストレス」と題された番組がありましたが、そこでもストレスによって、医学的研究結果として命を奪われる危険性が示されていました。

 

<ストレス対処法>

では、どのようにすればいいのでしょうか?

 

(1)起きていることを意識上にあげる

これは昨今のマインドフルネスにも直結しますが、起きていることに気づき続けるということです。
私たちが気づいていようが気づいていまいが、潜在意識は、すべからく多くの情報を取り入れています。

上記したように、ストレスがかかると扁桃核での情報処理が優位となり、これによって体の緊張などが起きます。
しかし、これに気づいていないので、これが解消されずに蓄積され続ける。
起きていることに気づいていないことが、自律神経のバランスが崩れる要因とも言われています。

心ここにあらずで今起きていることをしっかりと意識上に上げていないとストレスが溜まり続けるということになってしまいます。
このため、今どんなことが体や心の中で起きているのかに気づき、意識上に上げてあげる状態を常とすることがストレス対処の前提としておっても大切です。まあ、いわゆるマインドフルな状態で生きるということですね。

 

(2)それが本当にストレス要因となっているのかをちゃんと突き止める

「なぜ、ヨーガでは心を止滅させろというのか?〜心の4つの癖を理解する」でも書きましたが、人の心は一つの刺激からいろんなことを作り出してしまいます。

それが本当に嫌なことなのかどうかをちゃんと突き止めること。
自分の思い過ごしや思考の癖によってストレス要因としてしまっていないかどうかをちゃんと確かめます。

これは高度な抽象思考を必要とするため、前頭前野の発火につながります。
前頭前野の発火は、扁桃核の発火を抑制するため、ストレス低減にも繋がります。

 

(3)休む

上記で上手くいかないなら、あまりにも刺激の強い状況に自分を置いているということです。
心身が壊れてしまう前に休むようにしましょう。

睡眠時間をしっかりと取るのも大切ですが、忙しい時に、ほんの少し目を閉じて、ただぼーっとすること、綺麗な景色でもみてぼーっとする。
また5秒ほどかけて、ゆっくりと目を閉じると、脳波が下がって、小休憩効果が高くなります。

こういった小休憩を頻繁に挟むようにしてみてください。
5分間の小休憩を1日に例えば、4回取る。これだけでも、大きな効果があります。

 

(4)最高価値に行きる

上記したようにストレスをストレスとして悪影響が出るような状態になっているのは、最高価値に行きていないということの表れでもある可能性があります。
最高価値に生きると、「試練」と「支援」は同量やってくる。
この中で、その相反する二つを統合して突き抜けて成長・進化する。
ある意味、この生き方が、リーダーにとって、最もこの時代には求められていることでしょう。

 

(5)ストレスをストレスでないものに変える究極の質問

「人生の質は質問で決まる」。

これは、人間行動学の権威、Dr. ジョン・F・ディマティーニの名言です。
ストレスに感じることが起きた時、こうご自身に質問してみてください。

「この出来事は自分が最高の人生を送るためにどのように役に立つだろうか?」

これを、皆さんの、知性の発展のため、仕事のため、社会性/人間関係のため、家族のため、あなた自身の経済状況の改善のため、また健康のためにどのように役に立っているのか、あるいはこれから役に立つのかを考えてみると、物事の見方が変わって、ストレスがストレスでなくなることでしょう。

 

(6)時間スケールを広げてみる

ストレスにさらされている時は、IQが下がり、今の問題に見えることにとらわれがちになります。
こういう時は、時間のスケールを広げてみましょう。

一体、10年後にはこのことをどのように捉えているだろう?20年後は?
というふうに時間に関する視野を広げることでも捉え方が変わりますね。

 

(7)瞑想で脳を変える

瞑想が持つストレス低減の効果については、他のコラムで書いていますので、省略します。
でも、一応、該当箇所を抜粋しておきますね。

瞑想を含む高次の精神機能に関わる認知活動は、脳の広い範囲にまたがる大きなネットワークに関わり、その大きなネットワーク活動がその下位にある細胞群の活動をトップダウン的に制御しています。

 

瞑想すると活性化する(専門用語で「発火」と言います)内側前頭前野、眼窩前頭前野の発火は、トップダウン的に、その下位にある大脳辺縁系の働きを制御します。大脳辺縁系は、時に動物脳とも言われ、反応によって、基本的に不安を煽ることもある場所です。

特に、「闘争逃走反応」を起こし、過剰な警戒状態に関与する「扁桃体」による情報処理が優位な状態は、意味もなく不安な状況を引き起こします。

 

また、1990 年代後半に、安静時、いわゆる何もしていない状態の時に、活動量が高くなっている脳領域がいくつか存在し、それらがネットワークを持つかのように、同時に活性化することが発見されました。
このネットワークのことをデフォルトモード・ネットワーク(DMN)と言います。

DMN は通常、内側前頭前野、後部帯状回、楔前部、海馬などを含むとされています。
DMNは過去の記憶の呼び出しや将来の展望を描くのに大切な働きをしていると言われ、学習されたことが定着するために必要であると意見があります。

 

一方で、DMNの不安定な過活動は、とめどなく過去や未来に思いを巡らせ、不安や後悔にさいなまれるため、抑制できないと注意欠陥や課題遂行が困難になること、また、うつ病や不安障害などの精神疾患を引き起こし、慢性的なストレスの原因にもなる可能性も示唆されています。

また近い概念として「マインドワンダリング」というものもあり、これは注意散漫で考えようとしていたこと以外のことについて思いを巡らせてしまう心の迷走状態のことです。これは、幸福感の低さに関連し、ストレスの原因にもなり、また悲観が多くなるため、うつ病のリスクを高めると言われています。

 

こうした扁桃体の反応や不安定なDMNの働きは、ストレス要因であるということです。

しかし、ヨガや瞑想をして集中することで、この扁桃体やDMNが活動を低下させることがわかっています。
注意を向け続ける状態が適度に続くことによって、集中することで背外則前頭前野は活性化し、DMNが安定し、客観的になり、目的を持って行動することで左の前頭前野が活性化し、扁桃体の働きが抑制されるので、不安や恐れが減ります。
このため、ストレスが解消します。ストレスが解消した状態だと、行動も変化すると考えらえます。

 

それによって、習慣も変化するため、人生そのものが好転することでしょう。
また、心身の健康が保たれることも想像に難くありません。また、実際に起きていることにしっかりと意識を向けることで、心の暴走によって捏造されていたストレス要因が実際はないものである、あるいは思っていたより大きなものではなかったことが直感され、ストレス低減にもなります。脳研究の学会誌「Brain Research Bulletin」に掲載された研究らによって、瞑想によってストレスが軽減されることが示唆されています。

瞑想は一度身につけていただくととても効果的なツールです。
難しいと思われている方も多いようですが、そんなことはありません。
適切な指導と方法論を用いれば、例外を除き、どなたにも活用していただけるものです。
このストレスの溜まりやすい現代において、多くの方に身につけていただきたいと思っています。

以上、ストレスについて簡単にまとめてみました。
参考になれば幸いです。
ストレスを上手にコントロールして、または活かして、一回しかない人生を最高に豊かなものにしたいものですね。

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