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「神経科学を用いた効果的・効率のいい学習法」

「神経科学を用いた効果的・効率のいい学習法」

さて、今回は、脳科学的知見を用いた、人生をさらに豊かにする学びの「コツ」ですね。
学習は、人生の喜びです。

脳は実は知的好奇心を解放して学ぶ時に気持ちよさを感じるようにできています。
前も書きましたが、ヨガの世界でも知識は非常に大切。
知識がつかないと抽象度は低いまま。これでは人生で何かを残すことは非常に難しいです。
知識が邪魔をするとか言ったりしますが、これは完全に間違いです。
考えないというのはそうなのですが、「システム1」(*)が作動している時は考えていないのです。
そして、システム1はとっても早い意思決定システムで、物事はほとんどここで決定されています
よって、いかに優れた意思決定をするシステム1を持っているかどうかが人生を左右するのです。
しかし、そのシステム1を書き換えたり、学習できるのはシステム2。
このシステム2を使ってしっかりと学習し、それでシステム1を書き換えていく。
この時に、考えなく、そしてエレガントな決断をしていく脳を手に入れることができます。
しかし、そのそれは知識をしっかりとつけた人が、その知識がシステム1でしっかりと働いてくれている場合のみの話。
システム2ででいちいち考えなくてもうまくことが運ぶ状態のことを言っているのです。
知識が邪魔をするというのは、そもそも知識がない人が物事を理解できない状態で、考えて、いちいち、「システム2」(*)で処理しないといけない。
つまり、知識がない人の方が考えすぎてしまって動けないのです。
 ——–
(*)〜補足〜システム1とシステム2について〜UX TIMESより引用
システム1: 直感的で速い思考モード

自動的に高速で働き、考えるのにほぼ努力が不要。自分の意識でコントロールしている感覚は一切ない。印象をすぐ感じたり、発想や連想することが得意である。一貫性や辻褄が合うことを好む。
システム1の能力には、動物に共通する先天的なスキルが含まれている。猛獣や蜘蛛を怖がるなど直感的に素早く危険を避けるスキルはシステム1によるものである。

システム2: 論理的で遅い思考モード

普段は労力をほとんど使わない状態で待機している。論理的、統計的な思考はシステム2でないとできない。注意力を必要とし、気が散っているとうまく考えられない。
意思決定はシステム1→システム2の順に行われ、システム2が最終決定権を持っているため、計算問題など、システム1で答えが出せない時に働く。しかし、意識しないと、システム1が作り上げたそれらしい連想をよく確認しないまま正しいとしてしまう傾向がある。

——–
今回のメルマガで、圧倒的な知識を身につけて、最高のシステム1を手に入れて、考えなくともうまくいく脳を手に入れてください。
さあ、行ってみましょう!
<神経科学から見た脳の機能>

まず、大前提として、いくつか脳の持つクセというか、機能について把握しておきましょう。
ここが入っていると、なかなか効果的な学習法を知的に理解することを円滑にしてくれます。
(1)脳幹網様体賦活系
人間の脳には、「脳幹網様体賦活系」(Reticular Activation System:RAS)と言う脳機能があります。
これは、簡単に言えば、あなたにとって、重要度の高いものだけを意識に上げてくるシステム(系)。
同じ通りを歩いていても、見てるものはみんな違ったりしますよね。
服が好きな人は、いろんなブランドの路面店が目にたくさん入ってきたり、食べることが好きな人は、いろんな飲食店が目に入ってきたり、みんな違います。
(ボクは車のディーラーや楽器さんは見逃しませんっ!!ww)
それを可能にしているシステムです。
人は自分にとって重要度の高いもの、つまり、好きなもの(+)、あるいは嫌いなもの(ー)しか、見てないのです。
好きなものは欲しいから、重要度が高い。嫌いなものは避けたいと言う意味で重要度が高い。
この機能を活かすことで、脳の活動が飛躍的にアップします。
(2)報酬系
「報酬系」(Reward System)は、中脳腹側被蓋野のドーパミン神経や線条体側坐核などを様々な部位が参加する神経回路のグループです。
報酬系が活性化すると、そのドーパミンによって行動が促されます。また、記憶の定着もドーパミンが関与していますから、学習効果の向上も期待されます。
この報酬系をしっかりと働かせることが、学習にとっては非常に大切なことなのです。
(3)神経可塑性
「神経可塑性」(Neuroplasticity)とは、神経細胞単位であるニューロンの再配線が起きることを意味します。
簡単にいうと、脳は変化するということ。使われるところは轍ができるように強化されるし、そうじゃないところは忘却という現象に感じるほどに弱体化するということです。
そして可塑性は年齢関係ないと言われています。ある意味、何歳からでも何歳までも脳は鍛えられるということですね。
(4)汎化作用
「汎化作用」とは、一つの能力が湖上すると、それに関連する他の能力も向上する性質のことを言います。
ある部分を徹底的に知ったり、理解することによって、関連することに関する理解が深まったり、また新しい得意分野が広がったりするのです。
なので、熱中できることがあればひたすらそれに取り組むことで、脳全体のパフォーマンスの向上に役立つのです。
(5)ゲシュタルト化
ゲシュタルト化とは、部分情報を統合して、全体を作り上げる機能のことです。
例えば、
(^~^)
これをみて顔というふうに見れるのは、
 ^
 -
 ^
 )
という部分情報を統合して、全体を作り上げて、顔とみているのですね。
これをゲシュタルトを作るとか、ゲシュタルト化というふうに、正確な専門用語ではないですが、言われています。
学習をする際も、都度学んだことのゲシュタルトを作ることによって、その効果が上がります。
<神経科学から見た効果的で効率の良い学習法>
さあ、ここから、本題です。
わかりやすくするために、一つひとつ箇条書き的に書いて、解説を加えていきますね。
上記した脳機能をうまく使って、結果を出していきましょう!
(1)環境から誘惑をなくす
「意志力」という概念があります。意志力とは「決断する力」のことで、これは限りがあると言われています(以前のメルマガで、書いたように、好奇心がある対象については意志力は削がれないという研究もあります)。
人生には決断することを迫られる局面はたくさんありますね。
そして、必要な決断を必要な時にできるかどうか。それが人生を左右するので、意志力はうまく使いたいのです。
また、意志力は迷うことで浪費されるとも言われています。
なので、朝何食べる、あるいは食べない、今日は何を着て行こうか、などと迷いまくっていると、意志力の浪費をしているので、必要な時に出てこなかったりします。
この時に有効なのが、習慣化とルール化です。
習慣化することで、もう何をするか決まっているから、その時に意志力は浪費されない。
ルール化することで、迷った時にどっちにするかが明確であるから、その時に意志力は浪費されない。
学習する時にも実は意志力を使っています。決断ではないですが、かなり脳のリソースを使いますよね。
その時に、スマホだの、他の本だの、テレビだの、ネットサーフィンだのと他の誘惑があると、それとどっちにしようかと意志力を浪費してしまうのです。
よって、学習が進まない。
とにかく、学習をする場には、もう関連のあるものしか置かないようにします。
また、学習が始まるまでのプロセスにも誘惑やステップがない方がいいですね。
そこに行って、準備をするというより、もう準備ができてて、スッと入れるようにした方が学習が進みます。
(2)まず、全体像を把握して、各論を学ぶ
全体像を把握することは、マップを作る作業です。
学習することについて、まず本なら目次を見るように、全体像を把握して、マップを作ります。
そして、重要なこと、好奇心のあることだけを学びます。
そして、汎化作用を使って、他をカバーしていきます。
例えば、栄養学なら
・栄養素について
・生化学と栄養学の違い
・消化器について
・5大(6大)「栄養素について
・消化吸収のカラクリ
・栄養素と遺伝子
・病気と栄養の関係
・運動と栄養
かなりざっくりですが、こういうマップを作ります。
そして、興味のあるところから学んで行って、このマップに紐付けしていくのです。
大人は、連想記憶とかエピソード記憶と言われますが、何かに紐づけることによって、記憶の定着がスムースに進むと言われています。
一体今、何を学んでいるんだろうという、ある意味、露頭に迷った状態で学んでも、まずそれがどういう意味を持つのかが曖昧で面白くないし、定着しにくいのです。
なので、マップをしっかりと作って、それに紐付けしていくことで学習は進みます。
実は、これ、「ヨーガ・スートラ」を学ぶ際にも非常に有効な方法なんです。
またいつか、「ヨーガ・スートラの学び方」というコラムでも書いてみたいと思います。
(3)知らない単語や用語、キーワードが出てきたら、それを調べてその知識をつける。
知らないことはそもそも入ってこないのです。
なので、丁寧に読みながら、わからない用語、単語、キーワード、人名が出てきたら、その都度調べるようにしましょう。
多くの本や文献はその単語の知識ありきで書かれていますから、ここで学習がストップしたらアウトなのです。
それらを調べたら、またその説明にわからない単語があって、そっちを調べたくなる時もありますね。
その場合は、そこからのからのと脱線していきますが、基本的に3階層くらいまで調べたら戻ってくるようにしましょう。(もし、そっちがあまりにも面白くなって報酬系がめっちゃ回ったら、いっても構いませんが)
基礎の基礎をしっかりと押さえておかないと、RASが働かないので、言い換えれば、読みたいところしか読まないので、学びが進まないのです。
(4)自分のアルゴリズムを手放す〜まっさらな心と柔軟な姿勢で学びましょう。
次に基本が押さえられていて、理解できるところは増えてくると次の問題が生じます。
それは、またRASが働いて、今度は
(a)自分の「信念体系」に合う事(簡単に言えば、自分にとって大切なこと)
(b)自分の「信念体系」に会わない事
ばかり、意識に上るようになります。
なので、自分の自己主張は横に置いておいて、そんな考えもあるんだねという、柔軟な姿勢とまっさらな心で学びましょう。
たまにいらっしゃります。
「うまくいかないから、何とかしたいんです」と言ってこられる方。
でも、学びながら、
「でも、今までこうやってきたんです」と、自分のやり方を手放せない方。
だーかーらー、そのアルゴリズムでやってきてうまくいかなかったんでしょ?って言いたくなりますww
自分のやり方、アルゴリズムを手放して、学んでみましょう!
(5)テーマを持つ and/or ゴール設定する
テーマを持つとそこに関連あることの重要度が上がり、見えるものが変わってきます。
これは先ほどの全体像を把握するということともリンクしますね。
この辺りはゴールを設定するということにも似ていますね。
例えば、ヨガ講師の方は、「腰痛を持つ方に対処できる方法を知る」などのテーマを持ちます。
あるいは、「解剖学では日本一のヨガ講師」などのゴールを設定します。
そうして、テーマを持つ and/or ゴール設定するとこうなります。
→物事の重要度関数が変わる
→RASによって認識が変わる
→環境が変わる
→自我が変わる
→新しい学びが増える
といういい連鎖☆
とても楽しいですね!!
またこれは本を読む際にも使えます。
例えば、後から変わっても構わないので、その本を読むに当たって、一体この本から何を学ぶのかについて、ゴールを決めるのです。
そうすることによって、ある意味、テーマ設定も行われますから、闇雲に読むよりかなりの効果を見込めます。
(6)人格(自我)を変えて学んでみる
あなたという人格は、あなたが人間関係の中であなたのもつ機能の中で重要と思っているあり方の集積です。
子供がいて親ということが重要なら親という人格を持っているし、生徒さんがいて講師であるということが重要なら講師という人格を持っている。
つまり、人格や自我は、重要度関数の塊なのです。
なので、人格を変えてみると、重要度関数が変わりますよね。
例えば、自分は建築家であるということにしてみて、学んでみる。
あるいは、誰かすごく賢い人がいたとして、その人になり切って学んでみる。
また、有効なのは、本を読む時に著者の略歴をリサーチして、著者になり切って、その人の視点で読んでみる。
そうすると、重要度関数が変わり、RASがそれに準じて働いて、新しいことが入ってきます。
(7)アウトプット前提で学習する
脳は実はインプットだけでは何もゲシュタルトが生まれません。
単に情報を入れているだけ。
何かしらのアウトプットをすることによって、学んだことのゲシュタルトが形成されて、学習が進みます。
例えば、
・本で学んだこと学んだことを軽くまとめて、それを付箋に書いて、本に貼る。
・また学んだことを毎回ブログに書き溜める。
・学んだことを人に話す。
また、アウトプットしたことを、思い出して、またアウトプットすることによって、さらにリハーサル効果によって学習が定着します。
リハーサルとは反復すること。まあ、復習ですね。
これによって、脳に必要な負荷がかかり、この時に記憶が定着するのです。
アウトプットする先を決めて、ゲシュタルト化を促しましょう。
(8)興味のあることから学ぶ
例えば、ヨガ講師になろうとしている人がいて、往々にあるのが、包括的に学ぼうとしてしまうことです。
初期の段階で、全く何もわからなければ、それは有効です。
例えば、小学校の初期の段階で学ぶ漢字は、他の漢字を構成する部分要素であったりします(日、木、心など)。こういうものは、とにかく暗記することが有効です。
初期の段階であれば、ひたすら暗記。言語を学ぶ時に初歩的な単語などは丸暗記ですね。ここで、何か効率的な方法などありません。
しかし、ある程度わかっていて深めたい人が、そこから包括的に学ぼうとしても、まずそのことに報酬系が走らないので、ドーパミン作動性ニューロンが発火せずに意欲も起きないし、記憶も定着しません
また、知的好奇心レベルの高い状態だと、通常だと加齢とともに萎縮の進む個所であり、情報記憶や操作、、あた高次な認知機能も司る「側頭頭頂部」の萎縮が少ないことも指摘されています。これは、学びたいという知的欲求がある人ほど脳の機能が保たれるということ。学びたくないことを無理やりやっても、脳にとってもよくないのです。
また、関心ないことを学ぶと、それがストレスになったりします
ストレスは過剰になると、ストレス反応を誘引し、扁桃核発火を過剰にさせ、視床下部から副腎皮質刺激ホルモン分泌ホルモンが出て、それが下垂体を刺激し、副腎皮質刺激ホルモンが分泌されます。
それが副腎を刺激して「コルチゾール」が分泌される。これは、過剰に出ると、脳の記憶を司る海馬を破壊してしまうことはよく知られています。このため、この高ストレス社会で生きる我々にとっては、なるべく生活の中からストレスは排除したいですし、学びは喜びであるようにしたいのです。
そして、関心があることから学んでいくと、逆に学びが結果的に包括性を帯びるという側面もあります。これはまさに「汎化」ですね。AとBということがあるとして、ある時点で、Aには興味があり、Bにはないとしましょう。ここで、Aを学んでいくと、それが身についてきます。
そのうち、Bということを学ぶとAがよりわかる、あるいはAを学んでいるうちに知的な理解範囲が広まり、あるいは深まり、Bを学ぶことの重要性がわかったり、それ自体に興味が出て、知的好奇心が喚起されます。結果的にその段階においては、先ほどのある時点では興味がなかったBに興味が出ている状態となり、報酬系が働いて、効率が上がるのです。
さあ、いかがだったでしょうか?
たくさんありますが、響いたことを一つだけでもやってみてください。
とにかく大切なのは、楽しいことです!
楽しければ、あれよあれよという間に進んじゃいます。
報酬系を走らせて、どんどんそれにアディクトしちゃってください!
学習は喜び!そこを大切に^-^
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